LPDDR3やDDR3Lなど、スマホ・タブレットのメモリーの読み方。また載せ替えについて。
2018/03/13
スマホやタブレットの比較をしていると、メモリーの表記がいろいろあることに気づきます。
特に最近のタブレットで言えば容量(3GBなど)の他に「DDR3L」とか「LPDDR3」とか書かれている場合がありますね。
これが意味するものと、その違いについて簡潔にまとめてみました。
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スマホ・タブレットに使われているメモリーの読み方
例として、僕が使っているOndaのoBook 20 Plusのメモリーを見てみましょう。
Gearbestの商品紹介ページによれば「4GB LPDDR3 RAM」と記載されていました。
※RAMとはRandom Access Memoryのことで、一時的にデータを保存しておける領域(メインメモリー)であることを意味しています。
さらによく調べてみると、「4GB LPDDR3 1600」というメモリーであることがわかりました。
ではこの記号が意味するものは何なのでしょうか。
一つずつ紐解いていきましょう。
容量
まず最初の「4GB」。
これはメモリーの容量を意味します。
ストレージと単位が同じなのでわかりやすいのではないでしょうか。
1MBぐらいの写真だったら4,000枚ぐらい保存できる容量が4GBです。
メモリーの役目は一時的なデータの保管なので、容量が大きければ大きいほど一時的に置いておけるデータ量も多くなるわけです。
メモリーにデータを置けなくなると、転送速度がより遅いストレージ側にデータを置き始めるのでスマホやタブレットの動作自体が遅くなると言われています。
低電力
次に「LP」の部分。
これは低電力バージョンのメモリーであることを示していました。
(LP = Low Powerの略)
最近のスマホ・タブレットのメモリであればだいたい「LP」とついたものが使われていますが、一般的なパソコンに使われるメモリーだとこれがない(無印)のが普通です。
スマホやタブレットは電力消費を抑えることもハードウェア面での課題の一つとなっているので、こうした低電力で動くものが選ばれていくわけですね。
ちなみにDDR3Lのように規格の後ろに「L」が付くものも存在し、こちらは低電圧版とのこと。
いずれにせよ消費電力を抑えられるメモリーであることに違いはなく、またこの2つは互換性があるので似たようなシステム構成のタブレットの場合にはこのどちらかが使われていることがほとんどです。
規格
その次が「DDR」の部分。
これはそのメモリーの規格を表しています。
Double Data Rateの頭文字をとったもの。
DDRというのはここ十数年の主流であるメモリー規格。
深く気にしなくとも、現時点では基本的にDDRしか使われていません。
世代
次はDDRに続く「3」の部分。
これはDDRの世代を表しています。
2017年1月現在の最新版は「DDR4」で、DDR3の倍速でのデータ転送が可能だそうです。
※DDR3もDDR2に比べて転送速度が倍になったもの。
Snapdragon 835やHelio P25といったSoCもDDR4対応となっていますね。
世代が違うとメモリーのピン数やらサイズやらが違ってくるため、互換性はありません。
そのため、SoC側でDDR4対応なのであれば、搭載されているメモリーはDDR4ということになります。
周波数
最後の「1600」は省かれることも多いですが、このメモリーの動作周波数が1600MHzであることを表しています。
この数値にだいたい8をかけた数(この場合だと12,800)が1秒間あたりのデータ転送量(MB)となります。
メモリーの種類は今回のようにDDR3 1600と書かれる場合もあれば、PC3-12800のように書かれる場合もあります。
前者をチップ規格、後者をモジュール規格と呼び、別物のように見えますが・・・どちらも同じメモリーを指しているのです。
どこを気にするべきか?
CPU性能を知る時には周波数とコア数、世代などを見て判断すると思います。
あとはベンチマークソフトのテスト結果などですね。
ではメモリーはどこを気にするべきなのでしょうか。
CPUやマザーボード(スマホやタブレットならSoC)によって決まる
そもそも、スマホやタブレットに搭載されるメモリーはSoC(CPU)次第でだいたい決まってくるものです。
たとえばIntelのAtom x5-Z8300であれば、Intel公式の仕様書には「最大メモリー2GB メモリーの種類DDR3L-RS 1600」との記載がありました。
つまり、x5-Z8300ではDDR4はそもそも対応していない事になります。
なので、世代や周波数は選ぶSoC次第になるため、特に気にする必要はないと思われます。
※ただし同じ世代であれば周波数が違うメモリーは互換性があるとのこと。(互換性はあるものの、性能にはそこまで差がないという意見も)
そうなると容量部分ぐらいしか気にすることができません。
スマホやタブレットのメモリーは容量だけ見ておけばOK
容量以外の部分は搭載されているSoCに左右されてしまうので、結局は容量だけを見ておけばいいということになります。
oBook 20 Plusは4GBを搭載していました。
※・・・x5-Z8300の最大メモリーが2GBなのにおかしいですねw
でもOS上でもちゃんと4GBを認識して、正常に動作していたので良しとします。
2GBよりは4GB、4GBよりは6GB、8GBといったものが良いというのは言うまでもありません。
記事執筆時点での最大搭載メモリー量は8GBですね。
ちなみにoBook 20 Plusの場合は4GBで普通に使っていて50~60%のメモリ使用率でした。
これが100%を超えるようなら処理速度を落とすことに繋がってきます。
同等のWindowsタブレットで2GBRAM搭載モデルを未だに見かけますが・・・動作に不安が残ります。
※ちなみにApple製品のメモリーの使い方とAndroidやWindowsのメモリーの使い方には差があると言われており、iOSと他のタブレットで同じ3GBを積んでいたとしてもiOSの方が快適に作動するそうです。
メモリーの載せ替えはできない
自作パソコンに興味がある方なら、「メモリーって安くて簡単に載せ替えられるんでしょ」と思うかもしれません。
・・・が、タブレットのメモリーはそもそも基盤に直接ついているものなので、載せ替えることはできません。
できるとしたら、精密な半田ゴテを備えた工場の機械ぐらいなんじゃないでしょうか。
そういう意味もあって、そもそもタブレット用メモリーは市販されてすらいません。
なので、最初に選ぶメモリー量のままその後も使い続けていかなければならなくなるわけです。
これはCPUやストレージなんかも同じ。
※ストレージはSDカードでなんとか補えますが。
タブレットを選ぶ際には「何をしたいのか」によって適したスペックのものを選べるかどうかがキモとなってきそうです。